できるだけ家に籠もって自分で会社を作る方法(オンラインでの会社設立)

「すごくやりたい事業がある」とか「法人化しないといけない事情がある」とか「社長になりたい」という訳でもないのだけれど、なんとなく法人設立の手続をしてみたかったので会社を作ってみた。
できるだけ人に会いたくないし郵便局にも行きたくないしということで、なるべく家に籠もってできるところは家に籠もって実施したのでその概要を記す。

ここではオンライン申請に関わる部分を中心に記すため、会社設立の全体像や詳細を知りたい場合は他のサイトも併せて確認した方がよい。
また、各ソフトの使い方などは法務省国税庁のサイトに詳しい説明書があるのでそちらも参照すること。

今回の前提条件

今回設立手続開始前に満たしていたものは以下。

まあ、「過去にe-Taxで確定申告したことがある」という状態。
行政の納付系は基本ペイジーだが、ネット銀行だと対応していないこともあるので注意。

今回対面にて対応したもの

今回対面が必要になったものは以下。

  • バーチャルオフィスの面接審査
    • 今回は利用にあたって面接を必須にしているバーチャルオフィスにした。どちらかというと面接必須の方が少ないが、ある程度ちゃんとしたところにしたかったので敢えて必須のところを選択。
  • 定款認証
    • 電子定款でも法的に必ず対面で公証人役場に出向く必要がある。
  • 法人の印鑑証明書取得
    • 大抵の手続は公的個人認証サービスの電子証明書で可能だが、法人の印鑑証明書に限ってはオンライン請求の際に「法人の」電子証明書が必要になる。法人の電子証明書公的個人認証サービスの電子証明書とは違い有効期限別で有料(3ヶ月2,500円)。郵送での請求もできるが法人の印鑑カードと返送用封筒を同封して郵送することになるため、ここに限っては諦めて対面で取りに行った方が楽。

今回郵送にて対応したもの

今回郵送が必要になったものは以下。

  • 設立登記の添付資料「個人の印鑑証明書(原本)」「法人の印鑑届書」「法人の印鑑カード交付申請書」。
    • オンライン申請の場合でもこれらは紙媒体で郵送する必要がある。「法人の印鑑届書」については法務局のサイトに郵送必須が明記されていたものの「個人の印鑑証明書」については何もなかったので試しに他の書類のようにスキャンしたPDFに電子署名して送ってみたが、後日法務局より「個人の印鑑証明書は原本を郵送して」と電話が来た。
  • 銀行口座の開設申込
    • まあこれは銀行なので諸々原本が必要だしWebで作成しても最終的に印刷して郵送することになる。

PDFへの電子署名について

電子署名自体は申請用ソフトからの申請のたびに必要だが、PDFに電子署名が必要となるのは定款認証(定款のPDFに電子署名)と設立登記(添付資料のPDFに電子署名)の手続のみ。
求められているフォーマットで電子署名ができるソフトであればどれでも大丈夫なはずだが、公式サイトで明示的にOKとアナウンスされているものはAcrobatのみなのでAcrobatが無難。法務省のサイトに署名プラグインがあるのでそれをAcrobatに組み込んで使う。
定款認証と設立登記はそれほど時期が離れないのでおそらくAcrobatの試用期間内で手続を済ませることも可能。

ざっくりとした流れと必要書類

以下、実際に書類を提出した相手と提出した資料を箇条書きで記す(上から順番に実施)。
今回はバーチャルオフィスが千代田区九段南にあるので各手続はこれを管轄する事務所に対しておこなう。
ただし、定款認証は法務局単位での扱いとなるため同一都道府県内であればどこの公証役場でもよい。

・商号/商標/ドメイン確認
・印鑑作成
 ・ハンコヤドットコム
バーチャルオフィス契約
 ・ナレッジソサエティ
  ・内覧申込+審査申込(設立前に個人で契約し、設立後に法人に切り替え)
   →個人の住民票(3ヶ月以内)
   →個人の印鑑証明書(3ヶ月以内)
   →事業内容が分かる資料
   →個人の本人確認書類
   →個人の口座振替に使用する口座情報及び届印
ドメイン取得
 ・VALUE DOMAIN
  ・ドメイン仮取得(.co.jp)
・定款認証
 ・中野公証役場
  ・オンライン申請(申請用総合ソフト)+対面認証
    →電子定款
・設立登記
 ・東京法務局
  ・オンライン申請(申請用総合ソフト)
    →設立登記申請書
     ・添付
       →定款(公文書フォルダごと)
       →発起人の決定書(電子署名済PDF)
       →設立時代表取締役選定決議書(電子署名済PDF)
       →払込証明書(電子署名済PDF)
  ・郵送(切手を貼った印鑑カード返信用封筒を同封)
    →個人の印鑑証明書(原本)
    →法人の印鑑届書
    →法人の印鑑カード交付申請書
・税務関係届出
 ・麹町税務署
  ・オンライン申請(e-Tax
    →法人設立届出書(設立後2ヶ月以内)
     ・添付
       →定款のコピー
       →設立時貸借対照表
       →株主名簿
       ※平成29年度税制改正で登記事項証明書は添付不要になった。
    →青色申告の承認申請書(設立後3ヶ月以内か最初の事業年度の末日まで)
    →給与支払い事務所等の開設届出書
    →源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
 ・千代田都税事務所(eLTAX)
  ・オンライン申請
    →法人設立届出書(設立後2ヶ月以内)
     ・添付
      →定款のコピー
      →登記事項証明書
社会保険関係届出(雇用しないので労働保険と雇用保険は対象外。扶養もないので被扶養者(異動)届も対象外)
 ・千代田年金事務所
  ・オンライン申請(e-Gov)
    →健康保険・厚生年金保険新規適用届(事実発生から5日以内)
     ・添付
      →登記事項証明書など(コピー不可、90日以内)
    →健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届(入社決定後5日以内)
     ・情報
      ・基礎年金番号
・銀行口座開設
 ・ジャパンネット銀行
  ・開設申込(郵送)
   →普通預金口座開設申込書
    ・添付
     →登記事項証明書(3ヶ月以内、原本)
     →法人の印鑑証明書(3ヶ月以内、原本)
     →個人の本人確認書類(個人番号カード)
     →法人設立届出書(控) 電子申告の場合は、税務署が申請の受け付けをしたことがわかる書類(受付日や受付番号が確認できるもの)のコピーを付加
     →サイトURL
    ・追加添付(必要とは書いてないけど自身で追加したもの)
     →法人番号指定通知書(添付条件には当てはまらないので本来不要だがつけてみた)
     →事業概要および業務経歴書(本来サイトURLだけでもよいが業務委託中心で実績が判りにくいので追加)
     →個人事業主 2017年07月度請求書(法人としての実績がないので個人事業主時代の実績を追加)
     →代表取締役住民票(転居しており個人番号カードの内容が書き換わっているため信頼性をあげるため追加)

各手続の補足

商号/商標/ドメイン確認

まずはいろいろな手続で必要になる会社名(商号)を決める。

商号は以下で調査できる。無料で申請者情報を登録し「かんたん証明書請求」から会社名や本店所在地の都道府県などを入力して検索する。法人一覧が表示された後で特定の法人を選択すると有料で登記事項証明書の請求ができるが、類似商号を調べる際には無料で使える一覧表示までで用が足りる。基本的には同一本店住所に同一商号がなければ法的にはOK。ただ、後述のバーチャルオフィスの郵便物管理の都合上、似ている名前は避けた方がよい。なお、ここで登録した申請者情報は後の「申請用総合ソフト」による電子定款や設立登記のオンライン申請でも使うのできちんとしたものを設定しておくこと。
登記・供託オンライン申請システム: http://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/
※利用可能時間に注意(夜中や土日は使えない)。

商標は以下で調査できる。ロゴを作る場合には図形も検索できるが、図形を正しく検索するのは難しい(でも面白いので一度検索してみるといいかも)。商号と商標は別ものだが商号がブランド的に作用すると余所の商標権を侵害するおそれも出てくるため、念のため調べておいた方がよい。類似した商標が出てきても区分が違う場合はあまり気にしなくてよいと思う。
特許情報プラットフォーム: https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

空きドメインは適当なドメイン取得サービスで検索できる。実際に使いたいのは xxx.co.jp だったとしても xxx.jp や xxx.com あるいは書き間違いで入力され得るドメイン名なども一応どのような使われ方をしているのか調べておいた方が良い(予算に余裕がある場合は類似ドメインも自分で確保しておいた方がよい)。WHOISサービス/whoisコマンドなどで所有者や取得/更新日などの情報も取得できる。

印鑑作成

法務局に設立登記する際に必要となる。

前項で調べて会社名に問題がなさそうであれば印鑑を作成する。
どこでも良いのだろうけどそれなりにたくさんの会社が使ってる実績がありそう、かつ、そんなに悪い評判がなさそうなところということでうちはハンコヤドットコムにした。
大抵は実印/銀行印/角印をセットで作るものの、実印と角印は重要度が違うのでおそらく別の所にしまっておくことになるのだろうなということで、オプションで個別のケースもつけた。

ハンコヤドットコム: http://www.hankoya.com/

なお、自分はこの後の印鑑登録の際に適当な朱肉で押印してしまったが、後でちゃんとした朱肉と印鑑マットで押印してみたらくっきりさ加減が全然違ったため、このタイミングで朱肉や印鑑マットもちゃんとしたものを用意しておいた方が良い(朱肉は角印でも使える大きさにすること)。

バーチャルオフィス契約

公証役場で認証してもらう定款に記す本店所在地として必要となる。

個人事業主のときにも別のバーチャルオフィスを使っていたが、サイト上のニュースは滅多に更新されないしブログ等もなく「ここ本当に稼働してるのかな」と不安がつきまとっていたので、ちゃんとニュースやブログが更新されてそうなナレッジソサエティにした。
社長のブログに「週休4日制での採用を行います。副業もOKです。」というのがあって「イイネ!」と思ったというのと「口座振替で支払ができる」「Webで手続変更や郵便物の画像確認ができる」というのも選択に際して大きく作用した。
自分は郵便物を月イチで転送してもらうプランにしているが、そこに届いたら逐一通知してもらうオプションを付けている。

ナレッジソサエティhttps://www.k-society.com/

ドメイン取得

法務局に設立登記する際に必要となる。
電子公告を使わない場合は設立登記時点で不要。

なお、定款や登記事項「公告をする方法」で「官報に掲載する方法により行う」とした場合でも決算公告だけ電子公告が利用できる(官報への公告はお金が掛かる、かつ、決算公告以外の公告の電子公告も調査機関にお金が掛かるので、「基本は官報で公告、決算公告のみ電子公告」がおそらく一番楽)。
そのためには登記事項「貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項」にURLを明記しておく必要があるため、登記よりも先にドメインを確保しておく必要がある。

自分は昔から利用していて所有者移転の機能があるVALUE DOMAINにした(所有者移転は設立前に個人アカウントで取得したドメインを設立後に法人アカウントに移転する際に使う)。
.co.jp ドメインは日本国内で登記している会社のみ取得できるが、未登記の場合でも仮取得ができるのでこの時点で一旦仮取得しておき、登記が完了した時点でアクティベートした。

VALUE DOMAIN: https://www.value-domain.com/

定款認証

会社設立のプロセスはここからが本番。

なお、ここで作るのは「原始定款」。一旦認証/設立したあとは株主総会での決議の下で適宜変更でき、変更に際して再認証などの手続は必要ない。「商号」「本店所在地」「事業目的」など登記に関わる事項を変更した場合は法務局に変更登記、「決算期」など決算に関わる事項を変更した場合は税務署に異動届が必要だが、それ以外は株主総会の議事録にちゃんと残して保管できていればよい。なお、株主総会の決議に従って変更した後の直近の定款は「現行定款」という。原始定款には発起人の氏名と住所が明記されている必要がある(「絶対的記載事項」)ものの巷の企業が公開している定款には発起人の氏名や住所が書かれていないことが多いが、これはそれらの企業が定款認証後に発起人の項目を削っている。このような感じで定款認証後にバッサリ削ることを始めから想定している項目(かつ定款認証時には必要な項目)は定款末尾に「附則」としてまとめて記しておくと、変更時に「附則」をまるまる削ることができるので少し楽。

定款認証してもらう原始定款はWordでわーっと書いてPDF化すればよい。法務局にもテンプレートがあるがWordのスタイル機能を使っておらず大変見苦しいのでそのあたり気にする人は良きように調整すべし。また、PDF化自体はたとえばWindows 10標準付属の仮想プリンタ「Microsoft Print to PDF」でも可能だが、電子定款の場合は電子署名するのでAcrobatを使った方が良い。2017/08現在Acrobat Standard DCは年間契約だと月額1,380円(税別)、月別契約だと2,480円(税別)。まあ試用期間中に手続できてしまうけど。

Adobe Acrobathttps://acrobat.adobe.com/jp/ja/acrobat.html

なお、登記・供託オンライン申請システムにAcrobat用のPDF署名プラグインがあるのでこれも入れておくとよい。

PDF署名プラグインについて: https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/cautions/security/pdf_sign_inst.html

原始定款をWordで書いてPDF化した後、Acrobat上のPDF署名プラグインから公的個人認証サービスの電子証明書を使って署名できる。
ちなみに署名した後に自分で当該PDFを開いて署名を確認しようとするとAcrobatが「少なくとも1つの署名に問題があります」とか「署名の完全性は不明です」とか言ってくるが、これは気にしなくてよいらしい。たぶん公証役場とかしか持ってない公的なルート証明書が自分のローカルPCに入っていないからだと思う。

定款認証をお願いする公証役場は本店所在地と同一都道府県であればどこでもよい。
自分は地理的に訪問しやすいところ、かつ、メールアドレスを公開していてメールで事前確認できそうな中野公証役場にした。

なお、定款認証に際してはいきなり狙いの公証役場に定款を持ち込んでトライするのではなく、事前に電話かメールで定款認証をお願いしたい旨を連絡し、先方の指示に従ってFAXかメールで草案を送り、先方に諸々チェックしてもらって「あとは実際に認証手続するだけ」な状態にしてから先方と定款認証の日時(公証役場に出向く日時)を調整することになる。
やりかたは公証役場ごとに違うため詳細は対象の公証役場のサイトを確認すること。なお、公証人は法的に定められているものの公証役場自体は独立採算らしいので公証役場によって独自のサイトを用意しているところもあればメールアドレスすら不明なところもある。なんとなく都心の公証役場の方がお問い合わせフォームがあったりQ&Aが充実していたりする気がする。

上記のように定款の内容を諸々調整した後、電子定款の場合は登記・供託オンライン申請システムからダウンロードできる「申請用総合ソフト」で申請する。
使い方は公式サイトにPDFがたくさんあるのでそちらを参照。
なお、申請時に「定款認証する公証人の個人名」を選択する必要があるので、公証役場での事前チェックの際にどなたが担当してくれることになるのか教えてもらうこと。

申請用総合ソフト: https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/whats/sogosoft/summary.html

電子定款固有の注意としては「提出する定款のPDFファイル名を半角英数31文字以内にする」というのがある。
平成26年6月1日より制限が緩和されたようだが、とりあえず記号なしで31文字以内に収まるようにしておいた方が無難。

FAQ添付書類について: https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/faq/faq_070.html

以下、電子定款の認証に関する法務省の説明。実は必要なことが順番に書いてあってリンクも張ってありとても分かりやすい。

電磁的記録の認証(定款を含む私署証書の認証)の嘱託: http://www.moj.go.jp/MINJI/DENSHIKOSHO/denshikosho1-2.html

設立登記

定款が出来上がったらいよいよ法務局への申請。

法人は設立登記申請が提出された日が設立日となる(郵送の場合はそれが法務局に届いた日、オンライン申請の場合は添付書類が法務局に届いた日。いずれも法務局の営業日のみ)。その後1〜2週間の審査があるが、審査完了の日ではないので注意。
ただ自分の場合オンライン申請した日に添付書類を(非速達で)投函したので設立日は翌日になるのかなと思っていたがオンライン申請した日が設立日になっていたので実際のところがどうなのかよく分からず。投函した当日に添付書類が届いたのかもしれない。

なお、申請日と審査完了予定日のカレンダーも公開されている。
ただし自分の場合は完了予定日より一日遅れで「審査中」ステータスが「手続終了」になった。

東京法務局各庁別登記完了予定日: http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/kanryoyotei.htm

オンライン申請のやり方は法務省のページに必要十分な内容が記されている。

商業・法人登記のオンライン申請について: http://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html
会社等の設立登記のオンライン申請について: http://www.moj.go.jp/MINJI/minji140.html

↑のタイトルは似てるけど前者は登記全般、後者は設立登記。設立時は後者がメイン。

なお、自分は取締役会非設置会社の一人取締役なので設立登記申請の際に以下のものを電子的に添付した。

で、以下のものを郵送(切手を貼った印鑑カード返信用封筒を同封)した。このとき印鑑届書などの余白には上記電子申請時の受付番号を手で記載。

  • 個人の印鑑証明書(原本)
  • 法人の印鑑届書
  • 法人の印鑑カード交付申請書

上記について電子申請時の添付書類一覧は以下のように記載した。

定款              1通
発起人の決定書         1通
設立時取締役の就任承諾書    発起人の決定書の記載を援用する
設立時代表取締役選定決議書   1通
設立時代表取締役の就任承諾書  設立時代表取締役選定決議書の記載を援用する
払込証明書           1通
印鑑証明書           1通(郵送)
印鑑届出書           1通(郵送)

上記「援用」と記してある承諾書関連の文書については、決定書や決議書内に「なお、被選定者は、席上でその就任を承諾した。」などと記載し、添付書類一覧で「援用」の旨を記すことで省略できる。
ただし「席上で」とか「即時」とか「決議を行った際にその場で出席した本人が承諾していることを示す文言」が含まれないと弾かれることもあるようなので注意。
設立登記に限らず決議関係の文書は必要な条件が満たされていれば文言は任意の書き方でよいものの、ちょっとした文言が実は重要な条件を示していたりするため、テンプレートから持ってきて自分で加工する際は注意。
できればちゃんと根拠となる条文等を調べてチェックしておいた方がよい。

また、テキストで書く登記事項は定款とまったく同じ表記にする必要があるので注意。
たとえば「目的」の項番が定款で「(1)」「(2)」という表記だったら登記事項で「1」「2」としてはNG。ちゃんと括弧がいる。逆に定款で「1」「2」とした場合は登記事項で括弧をつけるとNG。
さらに登記事項はすべて全角にする必要があるため、決算公告を電子公告にする際の「貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項」に書くURLも全角で記さなければならない。
半角の空白もNGであるため本店所在地の書き方などにも注意すること。

ここで添付書類として印鑑カード交付申請書と切手を貼った返信用封筒を同封している場合、登記完了後に法人用印鑑カードが郵送されてくる。

また、登記が完了すると登記・供託オンライン申請システムで登記事項証明書を請求できるようになる。
銀行口座開設等で登記事項証明書を提出する場合、大抵は履歴事項全部証明書が必要になるので請求する際は全部入りのを選択すること。
なお、後述の法人用の印鑑証明書を法務局に取りに行く場合、登記事項証明書もオンラインで請求せずに法人用の印鑑証明書と一緒に取りにいってもよい。

登記・供託オンライン申請システム: http://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/index.html

登記事項証明書と同じく銀行口座開設等で必要になる法人用の印鑑証明書もオンライン請求できるが、こちらは個人の電子証明書では請求できず、有料の法人の電子証明書が必要になる。
しかも法人の電子証明書を取得する際に印鑑カードなどを使って手続する必要があるため、法人用の印鑑証明書は直接法務局に取りに行った方が諸々楽。
どうしても対面がいやだという場合は印鑑カードと返信用封筒を同封して郵送で取り寄せること自体は可能。

法人の印鑑証明書の取得はどの法務局でもOK。
最近は法務局に「証明書発行請求機」が設置されており、印鑑カードを入れて以下を入力すると金額と受付番号が書かれたレシートが出てくる(印鑑カードは挿入した途端にすぐ返されるので注意)。

  • 請求する書類と通数
  • 法人の管轄
  • 代表取締役の生年月日
  • 自分のカナ名と本人/代理人の別

そのレシートを持って印紙売り場に行ってお金を払って印紙をもらい、受付番号が呼ばれたらレシートと印紙を持って窓口に行き、受け取った申請書に自分で印紙を貼ってそのまま印鑑カードと一緒に提出すると法人の印鑑証明書をもらえる。

会社・法人の登記事項証明書等を請求される方へ: http://www.moj.go.jp/MINJI/minji11.html

税務関係届出

上記までで一応設立自体は完了している。
そこで法務省管轄の12桁の会社等法人番号が発行され、しばらくすると国税庁管轄の13桁の法人番号(会社等法人番号の先頭にチェックディジットが付加されてるだけっぽい)が発行される。
13桁の法人番号は本店所在地に郵送されてくるが、国税庁法人番号公表サイトでも検索できる。

国税庁法人番号公表サイト: http://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

その後の税務関係の届出としては

  • e-Taxで税務署(国管轄)に「法人設立届出書」「青色申告の承認申請書」「給与支払い事務所等の開設届出書」「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出。
  • eLTAXで税事務所(都道府県管轄)に「法人設立届出書」を提出。
  • 何らかの方法で市町村の役所(市町村管轄)に「法人設立届出書」を提出(ただし東京都区内の場合は不要)。

が必要となる。
オンラインでの添付書類はいずれも署名なしのPDFでOK。
e-TaxはWeb版ではなくe-Taxソフト。eLTAXはWeb版だがIEで利用。

e-Tax 法人でご利用の方: http://www.e-tax.nta.go.jp/hojin.html
eLTAX 電子申請・届出(要IE):http://www.eltax.jp/www/genre/1397038224605/index.html

社会保険関係届出

会社設立後の社会保険関係の届出としては

  • e-Govで「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出。
  • e-Govで「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」(会社ではなく代表者個人の健康保険/厚生年金の切り替え手続)を提出(適用届の手続完了後に判明する項目は空欄で提出)。

が必要となる。
オンラインでの添付書類はいずれも署名なしのPDFでOK。
e-GovはWeb版だがIEで利用。また、e-Govはアカウントを作らずに利用可能(申請時に表示される到達番号/問合せ番号を入力することで申請別にステータスが確認できる)。

取締役一人の場合でも上記届出は必要なので注意。
省略できるのは労働保険関係(労働者災害補償保険/雇用保険)のみ。

e-Gov 電子申請システム(要IE): https://www.e-gov.go.jp/shinsei/index.html

自分の場合は1週間ほどで「新規適用届」「被保険者資格取得届」の審査が完了し、e-Govのサイトから「事業所整理記号」「事業所番号」「被保険者整理番号」「標準報酬月額」「資格取得年月日」などが確認できた。

なお、しばらくすると適用事業所検索システムの検索結果にも出てくるようになるが、1週間前ぐらいのデータなので審査が完了しているかどうかの確認には使いづらいうえ、本店所在地や管轄、法人番号ぐらいしかでてこない。

適用事業所検索システム: https://www.nenkin.go.jp/do/search_section/index1.html

銀行口座開設

会社設立時は代表となる発起人の口座に払い込むが、その後の運営はやはり法人口座が独立していないと面倒なので法人口座を設立する。

都市銀行は口座管理料が掛かるし、多くのネット銀行は行政関係の納付に使うペイジーに対応していないし、ということで、自分は一部ペイジーに対応しつつ口座管理料が掛からない、かつ、クレジットカードの代わりとなるVisaデビットカードを無料で発行してくれるジャパンネット銀行を使うことにした。

ジャパンネット銀行 法人・営業性個人のお客さまの普通預金口座開設: http://www.japannetbank.co.jp/business/apply.html

昨今は犯罪利用を抑制するために事業実態のある主体かどうかを審査されるため、この段階で事業計画をきちんと書いて添付するか、あるいは既に取得したドメインでコーポレートサイトを作成しておき、銀行への申請書に明記する必要がある。
自分はお手軽に用意したかったのでwpXクラウドにコーポレートサイトを作成した。

wpXクラウドhttps://www.wpx.ne.jp/cloud/

業務委託中心の場合など事業実績をコーポレートサイトで公開しにくい場合は事業実績や沿革を記した文書や顧客企業との業務委託契約書、内容の詳細を記した納品書などを付加した方がよさそう。自分は1回目の審査ではコーポレートサイトのみでNGで2回目の審査で書類をいろいろ追加して通った。

なお、審査落ちの理由は基本的に「総合的な判断により」しか教えてくれないっぽいので自身で原因を考える必要がある。ケースバイケースだと思うが、自分の場合は電話番号として携帯番号記載して本店所在地がバーチャルオフィスでも大丈夫だった。

銀行の選択にあたっては「行政機関宛のペイジー利用が可能か」「社会保険料口座振替が可能か」が大事になってくると思う。

ペイジーはいちいちいろいろなところに出向かずに家からそのまま納付できるかどうかに関わってくる。ペイジーに対応していても相手先として民間企業にしか対応していない銀行もあるので注意。

社会保険料(健康保険/厚生年金)については毎月20日ぐらいに「保険料納入告知書」(ペイジーでの納付先もここに記されている)を会社宛に送ってくるものの、納付期限がその月の月末なのでバーチャルオフィスから自宅に郵送物を転送している場合は間に合わないケースがある。そういった場合に口座振替ができると便利なのだが、社会保険料口座振替に対応している銀行も限られているので、銀行を選択する際にはこれも考慮した方がよい。

行政機関宛のペイジー社会保険料口座振替の両方に対応しているのは都市銀行地方銀行。ネット銀行の場合は2017/08時点だと行政機関宛のペイジー対応はジャパンネット銀行楽天銀行社会保険料口座振替対応は新生銀行。なお、ジャパンネット銀行国税の還付先には指定できない。

その他の利用サービス

Cordova 6.4.0 + cordova-plugin-whitelist で"URL blocked by whitelist"になる件

Cordovaに手を出すことになってVisual Studio Tools for Apache Cordova(ionic 1 + AngularJS 1 + crosswalk)でいじり始めたものの、androidで動かしたときにどうしてもajaxが外部サイトに繋がらなくなくて困るなど。

試しに外部サイトへのリンクを作って押してみてもやはりログにblockされた旨が表示されて遷移しない。

config.xml内のWhitelistとして「accsss」「allow-intent」「allow-navigation」を「*」にして「Content-Security-Policy」のメタタグも全開にして「uses-permission」の「android.permission.INTERNET」を設定しててもダメ。

Cordova情報を漁ってもMonaca情報を漁ってもいずれも上記の話のみでそれ以外に困ってる人を見かけない。

なんだろなーなんだろなー、他の人と違うところはどこだろうなーって思ったら、最初にconfig.xmlのCordova CLIバージョン設定(実際にはtaco.jsonに保存される部分)でデフォルトの6.2.0を6.4.0に上げていた。

これを6.2.0にしたら無事外部サイトに繋がるようになった。よかったよかった。

GitLabからGitHubへの移行メモ

これまで他の実験用のWebサイトと相乗りしたメモリ1GBのカツカツの環境でGitLabを動かしてたもののかなり辛くなってきたためついカッとなってスペックを上げて対応するのではなくGitHubのプライベートリポジトリに移行する形で対応した。

以下、移行と設定のメモ。

自分のケースでは用途で複数のGitHubアカウント使ってることもあって~/.ssh/configに以下を追加(Windowsの場合もホームディレクトリの下の.sshに記す。WindowsでもIdentityFileはスラッシュ区切りかつ~/指定でよい)。
これによりgithub.comではなくprivate.github.comと指定してssh接続した際にのみ所定のキーが使われる。

Host private.github.com
  Hostname github.com
  PreferredAuthentications publickey
  IdentityFile ~/.ssh/id_rsa_private_github

移行は予めGitHubのコンソール上でmyname/group01-repo01なるプライベートリポジトリを作っておき、その後以下を実行。--mirrorをつけることでローカルに作業ディレクトリを作らずにベアリポジトリだけ作り、かつ、全ブランチを移行できる。

git clone --mirror git@myhost.example.com:group01/repo01.git
cd repo01.git
git remote add --mirror=push github ssh://git@private.github.com/myname/group01-repo01.git
git push github
cd ..

TortoiseGitのSettings/NetworkでSSH clientを「C:\Program Files\TortoiseGit\bin\TortoiseGitPlink.exe」とかにしている場合は、PuTTYで以下のように設定すればTortoiseGit上のURLを「git@private.github.com:myname/group01-repo01.git」指定に出来る。

  • Session
    • Host Name: github.com
    • Port: 22
    • Saved Sessions: private.github.com
  • Connection
    • SSH
      • Auth
        • Private key file for authentication: ppk形式の秘密鍵